物価の高騰により電気料金や食料品、日用品などの値上げが続く中、生活が苦しくなったと感じる方は多いでしょう。また、少しでも節約をしたいと考えているものの、なかなかうまくいかないと悩まれている方も少なくありません。
節約はコツを押さえれば効果的に実践できますが、なんとなく始めるとストレスがたまったりモチベーションが維持できなかったりして長続きしないケースが多いのです。
この記事では、さまざまな支出がある中で「娯楽費」と「被服費」に焦点を当てて節約するコツを解説します。また、無理なく続けるためのポイントも紹介します。
- 家計の「娯楽費」「被服費」とは?平均いくら?
- 娯楽費を節約するためにやるべきこととは?
- 娯楽費の節約のために「やってはいけないこと」とは?
- 被服費を節約するためにやるべきこととは?
- 被服費の節約のために「やってはいけないこと」とは?
- まとめ
家計の「娯楽費」「被服費」とは?平均いくら?
家計の節約を考える際、真っ先に思い浮かぶのは「娯楽費」や「被服費」ではないでしょうか。娯楽費は、生活の満足度を高めるにはあった方が良いものの、生活をする上では必須というわけではありません。また、被服費も工夫をすれば安く購入できたり購入頻度を下げたりできるため、節約しやすいといえるでしょう。
まずは「娯楽費」と「被服費」の定義や平均額について見ていきましょう。
娯楽費とは
総務省統計局が公表している「家計調査報告」では、時系列で統計を取る目的で家計の収入・収支や貯蓄・負債などが調査されています。
この中で、「家計簿上の娯楽費」の参考になる支出項目として「教養娯楽費」が分類されており「教育や娯楽、趣味などのために必要となる財とサービスへの支出」と定義されています。
教養娯楽費の例は以下の通りです。
教養娯楽用耐久財 |
パソコン、テレビ、カメラ、書斎・学習用机、楽器など |
教養娯楽用品 |
文房具、絵画用具、運動用具、玩具、愛玩動物用品など |
教養娯楽サービス |
宿泊料、習い事の月謝、自動車教習料、放送受信料、映画など |
書籍・ほかの印刷物 |
新聞、雑誌、書籍、カレンダーなど |
「家計調査上の教育娯楽費」はかなり広範囲な支出項目が含まれます。そのため、身近な「家計簿上の娯楽費」に置き換えて、「外食費やレジャー費、習い事やスポーツなどの趣味にかける費用」と考えるとイメージしやすいでしょう。
被服費とは
被服費とは、家計において身に着けるものに費やす費用のことです。総務省統計局による「家計調査報告」によると、被服費の内訳には具体的に以下のようなものがあります。
- ・和服や洋服
- ・シャツ・セーター類
- ・下着類
- ・生地・糸類
- ・履物類
- ・被服関連サービス
被服関連サービスとは、洋服や履物といった商品に関するサービスのことを指します。具体的には、クリーニング代や被服賃借料、仕立て代や裾上げ代のことです。「家計簿上の被服費」も、「服や履物など身に着けるものと、それに関連したサービスに費やす費用」と考えるとイメージしやすいでしょう。
娯楽費・被服費の平均額
娯楽費や被服費の節約を始めるにあたり、まずは一般的にこれらの項目にどのくらいの費用がかけられているものか知っておきましょう。2019年~2022年における娯楽費と被服費の平均額は以下の通りです。
・娯楽費の平均額
2022年における家計調査では、総世帯を調査対象にした場合、教養娯楽費の1ヵ月あたりの平均額は23,517円でした。以下は、その内訳です。
総世帯における教養娯楽費の平均額(2019年~2022年) 単位:円
項目 |
2022年 月平均額 |
2021年 月平均額 |
2020年 月平均額 |
2019年 月平均額 |
教養娯楽用耐久財 |
1,884 |
2,148 |
2,086 |
1,695 |
教養娯楽用品 |
5,770 |
5,835 |
5,672 |
5,683 |
書籍・他の印刷物 |
2,765 |
2,922 |
2,933 |
3,012 |
宿泊料 |
1,437 |
906 |
786 |
1,555 |
パック旅行費 |
1,225 |
531 |
798 |
3,123 |
月謝額 |
2,065 |
1,921 |
1,796 |
2,357 |
その他教養娯楽サービス |
8,371 |
7,644 |
7,135 |
8,347 |
合計 |
23,517 |
21,907 |
21,206 |
25,772 |
コロナ禍前の2019年からの推移をみると、2020年、2021年には娯楽費の中でも旅行や宿泊に関する費用が減少したため、全体の合計額も大きく減りました。しかし2022年に入り、旅行・宿泊関連の費用が戻りつつあります。
一方2020年や2021年は、パソコンやテレビといった教養娯楽用耐久財の項目で金額が増えています。もともとこういった家電製品などは購入頻度が低いことから金額は多項目に比べても小さめでしたが、コロナ禍における巣ごもり需要に関連することもあり金額が増えたものと思われます。こちらも2022年は元の金額に戻るような動きを見せています。
また、運動用具やペット用品などが含まれる教育娯楽用品については、2022年では平均5,770円と全体の比率の中では高くなっています。
・被服費の平均額
総世帯を調査対象にした2019年~2022年の家計調査を見てみると、被服費の1ヵ月あたりの平均額は2022年では7,640円でした。内訳は以下の表の通りです。
総世帯における被服費の平均額(2019年~2022年) 単位:円
項目 |
2022年 月平均額 |
2021年 月平均額 |
2020年 月平均額 |
2019年 月平均額 |
和服 |
89 |
120 |
82 |
124 |
洋服 |
3,079 |
2,837 |
2,936 |
3,684 |
シャツ・セーター類 |
1,559 |
1,460 |
1,469 |
1,843 |
下着類 |
693 |
774 |
718 |
811 |
生地・糸類 |
81 |
88 |
117 |
102 |
他の被服 |
601 |
556 |
575 |
702 |
履物類 |
1,060 |
993 |
1,013 |
1,256 |
被服関連サービス |
478 |
428 |
461 |
552 |
合計 |
7,640 |
7,256 |
7,371 |
9,074 |
コロナ前の2019年は合計で9,074円でしたが、2020年から2022年はいずれも7,000円台と、全体的に1,400~1,900円ほど減少する結果となっていました。コロナ禍によって外出の機会が減少したことなどが影響していると思われます。
2022年の結果を項目別に見てみますと、洋服の月平均額は3,079円と、他の項目よりも高い傾向です。また、シャツ・セーター類についても、1,559円と内訳の中では高い傾向にあります。一方、下着類と履物類の月平均額は比較的低くなっています。これは商品単価が低いためです。
また、履物類は商品単価が高い傾向ですが、一度購入すると比較的長い期間使用するため、購入頻度は少なく月平均額が低くなっています。
参考:政府統計
娯楽費を節約するためにやるべきこととは?
レジャー費や外食費などは、適度に出費する分には生活の質を高める良い出費です。しかし、日常生活においては必須というわけではないため、家計の状態によっては抑えることも必要でしょう。ここでは、娯楽費を節約するためにやるべきことを4つ紹介します。自分のライフスタイルに合わせ、できるところから取り組んでみましょう。
レンタル店や図書館を活用する
本や雑誌を読むことが多い場合、図書館やレンタル店の活用がおすすめです。大きな図書館であれば、本の種類が多いだけでなくCDやDVDの視聴・貸出を行っているところもあるでしょう。また、レンタル店では若干費用はかかるものの、比較的新しいマンガや雑誌をリーズナブルに購読できます。
ただし、毎月複数の決まった雑誌を購入している場合、電子書籍のサブスクリプションによる読み放題サービスの方がお得なケースもあります。
レジャー施設などは割引を有効活用
レジャー施設を利用するなら、割引を有効活用しましょう。例えば映画なら毎月1日に1,100〜1,200円で鑑賞できる「ファーストデイ」や、20時以降の上映を割引する「レイトショー」などを利用するとお得に鑑賞できるためおすすめです。
また、観光施設などについては、事前にネット上でお得な割引チケットを購入できます。一人あたり数百円程度の割引ですが、家族で行くならお昼代程の金額になるでしょう。他にもホテルや観光案内所でも、割引クーポンが配布されているケースがあります。
一人ではなく「シェア」して楽しむ
家での娯楽なら、一人ではなく家族や友達とシェアして楽しむことで、お互いに仲が深まるだけでなく結果として節約できる可能性があります。例えば、本やゲームなどをシェアして楽しめば、共通の話題で盛り上がるだけでなく一度の購入で済むため、節約につながるでしょう。
外食の頻度を見直す
外食の頻度を見直すことも大切です。ただし、外食は料理の手間を省けたり家族との大切な思い出になったりする側面もあるため、いきなりゼロにするのはストレスになります。そのため、まずは過剰な外食や、ついつい使ってしまいがちなデリバリーを減らすところから始めると良いでしょう。例えば「月に外食費は何円まで」と、上限を決めることで管理がしやすくなります。
娯楽費の節約のために「やってはいけないこと」とは?
娯楽費の過度な節約や、目的を持たずやみくもに行う節約は生活を味気ないものにするばかりか、ストレスにもなり反動による浪費につながりかねません。そのため節約は無理せず適度に行う必要があります。ここでは、娯楽費節約のためにやってはいけないことを2つ紹介します。
我慢のし過ぎはNG
我慢のし過ぎはNGです。あまりにも過度な節約はストレスになり長続きしません。場合によっては、我慢の反動による衝動買いにつながるでしょう。また、一緒にいる家族に悪影響を与える恐れもあるのです。
娯楽費は、できるだけ抑えた方が節約できるのは確かですが、心の健康とのバランスを適切に保てるよう配慮することも大切です。
そのためには、例えば使っても良い娯楽費の上限を決めておくと良いでしょう。例えば、月1万円までとあらかじめ決めておくことで、心理的な余裕を持ちながらも継続的に節約に取り組めます。無理のない範囲で行うことが、節約を成功させるポイントなのです。
優先順位をつけずに節約するのはNG
娯楽費を節約しようと、優先順位をつけずにやみくもに節約するのもNGです。過度な娯楽費は抑えるべきですが、自分にとって大切な娯楽は生活の質を上げる大切なものです。
そのため、娯楽費すべてを満遍なく節約するのではなく、自分が大事にしたい娯楽にはお金を使いつつ、それ以外の優先度の低い娯楽を抑えるようにしましょう。
自分のとって本当に必要なものと、不必要なものの取捨選択がポイントです。
被服費を節約するためにやるべきこととは?
ファッションが好きな方にとって、洋服などのファッションはついつい買ってしまうものでしょう。そのため、気が付いたら1ヵ月当たりの被服費が予想以上になっていたというケースは少なくありません。
しかし、被服費は工夫次第で満足度を下げずに出費を抑えることができるのです。ここでは、被服費を節約するためにやるべきことを4つ紹介します。
今ある服をチェック
まずは今ある服をチェックしましょう。今自分がどのような服を何着持っているのか把握できていないケースは多くあります。そのため、既に持っている服と同じようなものを購入してしまったり、せっかく新しい服を購入しても合わせるズボンがなく買うことになったりと、余計な出費につながりかねません。
タンスやクローゼットをチェックし整理整頓をして、持っている服を把握するようにしましょう。その際、何年も着ていないような不要な服は思い切って捨ててみるのも手段の一つです。
また、最近では服を管理するアプリがたくさんリリースされています。手持ちの服を登録するとスマホ上で管理できるようになり、買い物先でもすぐに確認できるため似たような服の購入を防げます。
シーズン別の予算を決めてから買う
服を購入する際は、あらかじめ予算を決めましょう。その際、予算はシーズン別に設定します。例えば春物の予算は5万円、夏物の予算は4万円にするなどです。予算の額については感覚で決めるのではなく、目安として月の手取りの5%以下に抑えることがポイントです。シーズンごとに予算を決めるのであれば、1シーズン3ヵ月で換算し、月の予算を3倍にして算出します。
買う洋服は厳選&しっかり検討
買う洋服は厳選し、しっかり検討した上で購入しましょう。「デザインが好みだから」「セールで安いから」などとなんとなく購入していると、不要なものまで買いかねません。本当に自分にとって必要な服なのか、見極めた上で購入することが大切です。
例えば、お店で良さそうな服を見つけてもその場では保留にし、いったん帰宅してから検討するなどの方法があります。時間を置いて気持ちを落ち着かせることで、本当に欲しい服なのかどうか冷静に考えられるでしょう。
また、お店で見かけて気になった服は、一度同じものや似たものがフリマアプリで安く出品されていないかチェックしてみるのもおすすめです。古着なので写真などで状態をしっかりとチェックする必要はありますが、良いものが購入できれば大幅な節約になります。
被服費の節約のために「やってはいけないこと」とは?
ここでは、被服費の節約のためにやってはいけないことを紹介します。無駄な服を買わずに、自分にとって本当に必要なものだけを買うために、以下の2点は気をつけましょう。
流行を追いすぎる
テレビや雑誌、SNS上などでは「今年のトレンド!」「今話題の商品」など、さまざまなファッションの流行に関する情報があふれています。ファッションが好きな方なら、ついつい欲しくなってしまうでしょう。しかし、今流行しているファッションもいずれは別の流行に移り変わっていきます。流行を追いすぎるとトレンドが変わるたびに新しい商品を購入したくなり、お金の浪費につながりかねません。
流行は適度に楽しむようにし、追いすぎないことが大切です。思い切ってトレンドに関する情報をシャットアウトしても良いでしょう。例えば、ファッション雑誌を読むのをやめたり、SNS上のファッション系アカウントのフォローをはずしたりすることで、情報が入ってこないようにするのも一つの方法です。
安いからと言ってたくさん買ってしまう
節約をしていると、ついつい「セール品」や「お買い得商品」に目を奪われるでしょう。しかし、「安いから」とたくさん買ってしまうと、結局あまり着ないで無駄になってしまったり、すぐに破れてしまったりします。
服を購入する際は、価格だけではなく自分にとって本当に必要なものなのか、しっかり検討した上で購入しましょう。
まとめ
娯楽費や被服費を節約したくても、なかなかうまくいかないという方は少なくありません。しかし、娯楽費は、図書館や割引制度を利用したり外食の頻度を見直したりすることで効果的に節約可能です。
また被服費についても、服の購入や管理を工夫することで、かなりの節約につなげられます。自分のライフスタイルなどに合わせ、できるところから取り組んでみましょう。
一方、過度な節約は生活の質を低下させる恐れもあります。自分にとって本当に必要なものを見極め、優先度の低いものから節約していくことが大切です。
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