iPhoneを利用していると、「設定」の「ソフトウェア・アップデート」の項目にて、アップデートを行うよう指示する画面が表示されるでしょう。これは、iPhoneのOS(オペレーティングシステム)であるiOSというソフトウェアを最新バージョンにアップデートし、利用に支障をきたさないようにするために行われるものです。なお、OSとは人間でいうところの頭脳のようなものを指します。
しかし、「iOS」や「アップデート」とは何なのか、また、アップデートはした方が良いのか、アップデートをしないとどうなるのか詳しく知らない、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、iPhoneのアップデートについて知りたい方に向けて、基本的な概要から注意点、手順まで詳しく解説します。
- iOSとは?
- アップデートとは?
- iOSをアップデートするメリット・デメリットとは?
- iOSはアップデートしないまま利用できる?
- iOSをアップデートするときに注意すべきこととは?
- iOSをアップデートする手順
- まとめ
iOSとは?
「iOS」とは、iPhoneに搭載されているモバイルOSです。OSとは、オペレーティングシステムのことを指し、iPhoneだけでなくAndroid端末やPCにもそれぞれ専用のOSが搭載されています。
iPhoneやAndroid端末はモバイル端末に該当するため、搭載されているOSも「モバイルOS」という呼び方になるのです。
OSは、搭載されている端末の操作・運用・運転をつかさどるソフトウェアであり、OSがなければ端末を動かすことはできません。つまり、iOSは「iPhoneを動かすために必須のソフトウェア」となります。
最も古いバージョンのiOSが配信されたのは2007年6月29日です。それ以降、何度もアップデートを繰り返し、2023年3月時点では「iOS16」が配信されています。
アップデートとは?
「アップデート:update」とは、直訳すると「更新する」「最新の状態にする」という意味を持つ英単語です。iOSなどのOSに対して「アップデートする」と使う場合は、「OSを最新の状態に更新する」という意味になります。
iOSのアップデートは無料で行われるため、費用の心配をする必要はありません。ただし、アップデートに際してはデータ通信料金が発生するため、モバイル回線状態(iPhoneの画面左上に“4G”などと表示されている状態)ではなく、Wi-Fiにつないだ状態でアップデートを行いましょう。そうすることで、データ通信量を節約できます。
iOSをアップデートするメリット・デメリットとは?
続いては、iOSをアップデートする際のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。アップデートをすると最新の状態になるため基本的にはメリットのほうが多いですが、まれにデメリットも発生します。
iOSアップデートのメリット
まずはメリットについて見ていきましょう。主なメリットとして「最新機能の追加」「既存機能の改善」「セキュリティの向上」が挙げられます。以下は、初代iOSから最新のiOS16に至るまでのアップデート内容を羅列した表です。
バージョン |
配信日 |
アップデート内容 |
iPhoneOS1 |
2007年6月29日 |
・iPhoneにおける基本的な機能の搭載 |
iPhoneOS2 |
2008年11月10日 |
・AppStoreの搭載 ・Apple以外のアプリケーションの利用が可能に |
iPhoneOS3 |
2009年9月19日 |
・テキストと画像のコピー、カット、ペースト機能の追加 ・Spotlight機能の搭載 |
iOS4 |
2010年9月18日 |
・マルチタスク対応 ・GameCenter機能の搭載 ・AirPlay機能の搭載 |
iOS5 |
2011年11月10日 |
・通知センターの搭載 ・Siriの搭載 ・iCloud対応 ・緊急地震速報の通知対応(日本のみ) |
iOS6 |
2012年9月19日 |
・既存アプリの機能追加と改良 |
iOS7 |
2013年9月18日 |
・大幅なデザイン変更 ・コントロールセンター追加 ・AirDrop対応 ・CarPlay対応 |
iOS8 |
2014年9月17日 |
・iCloudDrive対応 ・AppleMusic対応 ・ApplePay対応 |
iOS9 |
2015年9月16日 |
・検索機能強化 ・Siriの強化 ・NightShift機能追加 ・バッテリー駆動時間改善 |
iOS10 |
2016年9月14日 |
・既存アプリの機能強化 |
iOS11 |
2017年9月19日 |
・コントロールセンター刷新 ・AppStore刷新 ・画面録画に対応 ・ストレージの管理機能追加 |
iOS12 |
2018年9月17日 |
・セキュリティアップデート ・ミー文字、スクリーンタイム機能、Siriショートカットなどの追加 ・Webサイトによるトラッキング防止 |
iOS13 |
2019年9月19日 |
・ダークモード導入 ・カメラAppのナイトモード追加 ・充電最適化への対応 ・省データモードの追加 ・後にCOVID-19感染者との接触通知機能追加 |
iOS14 |
2020年9月16日 |
・ウィジェット配置対応とスマートスタック機能追加 ・AppClip追加 ・Appライブラリ追加 ・睡眠モード追加 ・AirPodsProの空間オーディオ対応 ・Safariのトラッキングレポート ・録音と録画のインジケータ ・流出したパスワードの通知 ・AppStoreのプライバシー情報掲載義務化 |
iOS15 |
2021年9月21日 |
・セキュリティアップデート ・通知センターのUI刷新 ・標準アプリケーションの機能強化 ・集中モードの搭載 |
iOS16 |
2022年9月12日 |
・ロック画面のカスタマイズ機能追加 ・メールとiMessage送信後の編集と削除機能追加 |
上記のように、iOSの大きなアップデートは約1年ごとに行われています。ちなみにこれ以外にも小規模なアップデートが行われています。
アップデートのたびに、新機能の追加や既存機能の改善が行われており、iPhoneユーザーにとって使いやすい環境の構築を目的として更新されているのが分かるでしょう。また、セキュリティ面のアップデートも行われており、アップデートを行うことでより安全に端末を利用できるようになるといえます。
以上のことからiOSアップデートのメリットは、「iPhoneユーザーが使いやすい環境の構築」と「安心してiPhoneを利用できる環境の構築」の2点といえるでしょう。
iOSアップデートのデメリット
次に、iOSアップデートにおけるデメリットも確認してみましょう。iOSアップデートは、ユーザーに対して使いやすさと安全を提供するために実行されているものですが、少なからずデメリットも存在します。アップデートを一切しなくてよいというわけではないものの、以下のようなデメリットが存在することを把握した上でアップデートに臨みましょう。
1つ目は、バグや不具合が発生する恐れがある点です。基本的には、開発者側で不具合が発生しないようにした上でアップデートを配信していますが、開発者側でも予期できなかったバグや不具合がユーザーによって発見される場合があります。そのため、アップデートが配信された直後に更新するのではなく、少しの期間様子を見てからアップデートを行うという方もいます。
2つ目は、画面デザインやレイアウト、アプリの機能などが大幅に変わる場合があるため、ユーザーによっては使用感に慣れず困惑する恐れがある点です。メリットの項目で紹介したように、iOSアップデートでは一度に複数の機能を改善したり、追加したりします。そのため、アップデート前と後では全く別物に感じてしまう方は少なくないのです。「アップデート前の方が使いやすかった」と感じるかもしれない点は、デメリットの一つとして挙げられるでしょう。
3つ目は、一部のアプリケーションが新しいiOSに完全に対応しておらず、不具合等が起きる可能性があることです。とくにApple以外の企業が作ったアプリケーションでは、新OSに対応しておらず、何らかの不具合が起きるケースがまれに見られます。通常、そのような場合でも数日以内に対応することがほとんどですが、今まで普通に使用できていたアプリケーションが思ったように機能せず、一時的に利用できないというリスクもアップデートのデメリットといえます。
4つ目は、iPhoneの機種によってはiOSアップデートの対象外となってしまう点が挙げられます。実際、2023年3月時点で配信されている最新のiOS16は、iPhone8以降の機種をアップデートの対象としており、iPhone7を含むそれ以前の機種については対象外です。簡単に言うと、古い機種はアップデートできなくなる可能性があるということです。アップデートできないと、新機能の利用や機能改善、およびセキュリティサポートを受けられません。配信されるアップデートがどの機種を対象としているのか、把握しておくことが必要でしょう。
iOSはアップデートしないまま利用できる?
結論からいうとアップデートをしなくても利用できますが、不具合が発生したりセキュリティ面で不安が残ったりするため、iOSアップデートは常に行い、最新の状態にしておくのがおすすめです。
では、iOSアップデートを行わないままにしておくとどのような危険性やリスクがあるのか詳しく解説します。
iOSをアップデートせずに使う危険性・リスク
iOSアップデートをせずにiPhoneを利用する危険性とリスクは、先述したメリットとは逆の内容になります。すなわち、「利用しやすい環境でiPhoneを利用できない」という点と、「安全にiPhoneを利用できない恐れがある」という点です。
「利用しやすい環境でiPhoneを利用できない」とは、アップデートで配信される最新機能が利用できないという意味になります。iOSアップデートは「ユーザーがより利用しやすい環境構築」のために配信されているため、アップデートを行わない=便利な機能が使えないままとなるのです。
また、iOSアップデートはセキュリティ面の向上も目的としています。そのため、アップデートをせず放置したままにしておくと、ウイルスや不正アクセスに対処できない恐れがあるのです。インターネット上のウイルスや不正アクセスの手法は日々進化しています。そうした危険性に対処するためには、最新のバージョンにアップデートすることが不可欠といえるのです。
iOSをアップデートするときに注意すべきこととは?
ここでは、アップデートを行う際に注意すべきポイントを解説します。
大前提として、一度アップデートを開始したら途中で強制終了はしないようにしましょう。iOSアップデートには、それなりの時間がかかります。長い場合だと30分から1時間程度を要するため、その間はiPhoneを操作できません。何かしら用事がある時間帯などにアップデートを行うのは避け、夜間などiPhoneを操作しなくても問題ない時間帯にアップデートを行うようにしましょう。アップデート中にiPhoneを使う用事ができたからといって強制終了すると重大な不具合が発生し、iPhoneを操作できなくなる恐れがあるためです。
また、アップデートを行う場合は十分に充電がある状態にしておき、かつ充電ケーブルにつないだままにしておきましょう。アップデート中に充電が切れてしまうと、強制終了と同様に適切にアップデートが完了せず、不具合が発生する原因になりかねません。
次に、Wi-Fiを利用してアップデート行う場合は、利用しているWi-Fi環境が安定しているかどうかも重要です。不安定なWi-Fi環境下でアップデートを行うと、アップデートが適切に完了しない恐れがあります。
最後に、アップデートにかかるデータ通信量についても確認しておきましょう。iOSアップデートには、およそ200MBから5GB程度のデータ通信量が必要になります。そのため、モバイル回線ではなく、Wi-Fiにつないだ状態でアップデートを行うことが推奨されています。
アップデートにかかるデータ通信量については以下の記事でも紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
iOSをアップデートする手順
最後にiOSアップデートの実際の手順を紹介します。
まず最初に、お使いの端末でiOSアップデートが必要かどうか確認する必要があります。
【iOSアップデートが必要かどうかの確認方法】
1.「設定」を開き「一般」をタップ
2.「ソフトウェア・アップデート」をタップ
3.「お使いのソフトウェアは最新です」と表示されていればアップデート済み
一方、アップデートが必要な場合は「アップデートが必要です」などと表示されます。
前述のとおり、アップデート中は数十分程度スマホが利用できないので、出かける前などは避けて、時間のある時にアップデートを開始しましょう。
操作手順は以下の通りです。
1.あらかじめWi-Fiに接続しておく
2.「設定」を開き「一般」をタップ
3.「ソフトウェア・アップデート」をタップ
4.歯車のアイコンとともにアップデート内容が記載された画面が開かれるので、下部の「ダウンロードしてインストール」をタップ
5.パスコードの入力を求められる場合はコードを入力の上、アップデート開始
※アップデート中はスマホを操作せず、充電ケーブルも抜かず、できるだけ動かさない
6.アップデート完了後、再びパスコードの入力を求められるので入力すれば利用可能
まとめ
iOSアップデートは、「iPhoneユーザーが使いやすい環境の構築」と「安心してiPhoneを利用できる環境の構築」を目的として配信されています。そのため、安心して快適にiPhoneを使い続けるにはアップデートの実行が不可欠です。
アップデートを行わないまま端末を使用し続けるのはリスクが大きいためおすすめできません。本記事で紹介した手順に沿って、アップデートを行うようにしましょう。
ただし、大規模なアップデートではまれに不具合が発生することもあるため、すこし様子を見てからのアップデート実施でもよいでしょう。そのほか、デメリットに挙げた点に注意しながらアップデートを行うようにしましょう。