長きにわたり日本のインターネット通信を支えてきたADSLですが、2024年3月末でサービスを終了します。
ADSL登場前はダイヤルアップ接続が使われていましたが、使用するためのハードルが高く、インターネットの利用者数は決して多くありませんでした。しかし、ADSLが登場し定額料金での常時接続が可能になったことで、インターネット通信が一気に身近なものになったのです。
この記事では、インターネット利用者数を爆発的に増加させたADSLの基礎からサービス終了の理由、ADSLから乗り換える場合におすすめのサービスなどを解説しています。
ADSLとは
ADSLとは、「Asymmetric Digital Subscriber Line」の頭文字を取った通信用語で、日本語に訳すと非対称デジタル加入者線という意味の言葉です。上り(アップロード)と下り(ダウンロード)の通信速度が対称ではないことから「非対称(Asymmetric)」という言葉が使われています。
ADSLは、一般電話回線の中でも音声電話では使用しない高周波数帯のデータ通信方式ですが、ADSLの登場以前は音声電話と同じ帯域を使用するダイヤルアップ接続が中心でした。ダイヤルアップ接続は、通信速度が低速であることに加え、月々のプロバイダー接続料やインターネット接続時に通話料が発生し、費用的にも大きな負担がかかっていたのです。また、接続中には電話の使用ができないこともインターネット利用者数増加の妨げとなっていました。
そのような通信環境しかなかった中、誕生したのがADSLでした。それまでのダイヤルアップ接続と比較すると大幅に通信速度が向上し、常時接続可能になったことで、インターネットが一般にも広まり、とても身近な存在になったのです。
ADSLが日本で普及した2001年は「ブロードバンド元年」と呼ばれています。同年6月にはソフトバンクから、当時一般的だったADSLサービスのプロバイダー料金に比べ半額近い月額2,500円程度のYahoo!BBを提供すると発表され、大きな話題となりました。それを受けてNTT東日本・西日本も12月に利用料金を月額2,000円台まで大きく引き下げるなど、価格競争が急速に進んだのです。これによりブロードバンド加入者数も飛躍的にアップしました。
ADSLは2024年3月末でサービス終了
各事業者から提供されているADSLサービスは、最終的に2024年3月いっぱいで終了の予定です。なお、NTT東日本・西日本が提供する「フレッツ・ADSL」ですが、2022年1月31日以前より「フレッツ光」の提供となっていたエリアでは、2023年1月をもって既にサービスを終了しています。しかし「フレッツ光」の提供が近年開始されたエリアでは、サービス移行準備期間を考慮し、2025年1月末まで延長されます。また、固定電話のアナログ回線も2025年を目途にサービスを終了し、光回線(IP網)へ移行する予定です。
ADSLがサービス終了する理由
ADSLは2000年代に入り利用者数が急増しましたが、2003年には早くも次世代の通信回線が登場します。それが、家庭向けの「光回線」です。ADSLと比較して、より高速な通信ができる光回線の利用者は徐々に増え、2007年頃には光回線の利用者数がADSLの利用者数を上回ったのです。
また、2015年にはNTT東日本・西日本が提供するフレッツ光回線を各プロバイダー事業者が借りて展開する「光コラボ」と呼ばれる光回線サービスがはじまりました。これによりサービス内容や価格面での競争が激化したのです。さらに、スマートフォンやモバイルルーターなどの高速モバイル通信であるWiMAXの普及もあり、徐々にADSLのユーザー数は減っていくことになります。
そして現在、ADSLのリリースから20年ほど経過し、使用されている回線設備の老朽化が深刻となり、NTTはADSL設備の補修ではなく光ファイバーへの移行を選択したのです。このような経緯から、ADSLはサービスを終了する流れとなりました。
ADSLから別のサービスに乗り換える際のおすすめは?
現在ADSLを利用している方は、別のインターネット回線への乗り換えが必要です。では具体的にどのような選択肢があるのでしょうか。ここからはADSLに代わる、おすすめの通信回線について解説します。
(1)光回線
光回線は、光ファイバーと呼ばれるケーブルを使ってデータを送受信するものです。光回線サービスの契約数は、2020年の時点で3,410万件を超えたといわれており、通信速度はほとんどの場合は最高1Gbpsとなっており、大容量データのやり取りもストレスなくできるでしょう。
動画サービスやオンラインゲームを楽しむうえでは、高速かつ安定した通信ができる光回線は欠かせない存在です。
(2)モバイルルーター
モバイルルーターとは、Wi-Fi接続機能がある端末をインターネットに接続するための持ち運びができる小型で軽量な通信機器です。パソコンやスマートフォンにはWi-Fiで接続し、インターネットには携帯電話と同じモバイル回線で接続する仕組みとなっています。
モバイルルーターが登場した当初は外出先でもWi-Fiが使えるという利点から利用者が増えましたが、その後は通信の安定性の高まりもあって固定回線の代わりに自宅でも利用される方が増えてきました。
(3)ホームルーター
ホームルーターは、モバイルルーターを自宅などで使いやすいよう据え置き型にしたものです。コンセントから電源供給を行い、モバイル回線を利用して通信を行います。
モバイルルーターと同じく、Wi-Fi機能によってパソコンやスマートフォンと接続できるのが特徴ですが、それに加えてLANポートも備えているため、有線LAN接続も可能です。
持ち運びは想定していませんが、その代わりにモバイルルーターより安定した通信ができます。
(4)CATV
CATVとは、ケーブルテレビのことを指します。放送用データを受信するケーブルを利用してインターネットに接続する仕組みです。光回線よりもやや通信速度が遅い傾向にはあるものの、BSやCSなどの有料テレビ番組を見ることもできるところが特徴といえるでしょう。
しかし、インターネット利用のみの契約にすると割高になってしまうことが多いという欠点があります。
乗り換えのメリットと注意点
ADSLから他のインターネット回線に乗り換えるにあたって、それぞれの良いところだけではなく注意が必要なところについても確認し検討すると良いでしょう。ここでは光回線とモバイルルーターのメリット、注意点について解説します。これを参考に自身に合ったサービスを検討してみてください。
光回線に乗り換える場合のメリット・注意点
【メリット】
1.通信速度が速い
ADSLの通信速度が最大でも50Mbpsであるのに対し、一般的な光回線では下りが最大1Gbpsとなっています。これは、通信速度に20倍以上もの差があることになるのです。
この通信速度によって、高画質で動画配信サービスの映像を鑑賞できたり、短時間で大容量のファイルをダウンロードできたりします。
2.通信が安定している
ADSLでは収容局から距離があると速度が落ちるなどの欠点がありましたが、光回線では距離や電磁波の影響を受けないため、安定した高速通信が利用可能です。回線が混み合うと通信速度が落ちることもありますが、これは「IPv6(IPoE)接続」というサービスを利用することでほぼ解消されます。
【注意点】
1.工事が必要
新規導入にはケーブルを引き込む工事が必要となり、賃貸マンションやアパートなどで使用する場合は、大家さんや管理会社の許可が必要です。
また、工事を申し込めばすぐに利用できるというわけではなく、申込みから開通まで約1ヶ月かかることも考慮しなくてはなりません。
さらに、フレッツ光や光コラボの場合、戸建てで19,800円(税抜18,000円)、集合住宅では16,500円(税抜15,000円)ほどの工事費用がかかります。 ※2023年11月現在の標準工事費の一例です。宅内外の状況や工事の日程によって追加費用が発生します。
2.ADSLよりも基本料金が高くなる場合がある
ADSLでは2,000円以下の料金プランもありました。しかし光回線では戸建てで5,000円強、集合住宅で4,000円強と、ADSLと比較すると高めの料金設定になっています。
ただし、光コラボの場合光電話にも加入すると合計金額はADSLの利用料金(ADSL利用料金+電話料金)とほとんど変わらないか、場合によっては安くなることもあるのです。
さらに、光コラボの基本料金(月額利用料金)にはプロバイダー利用料金も含まれているため、ADSLと光回線の利用料金はそれらも考慮して比較すべきでしょう。
モバイルルーターに乗り換える場合のメリット・注意点
【メリット】
1.工事が必要ない
光回線と違い、モバイルルーターはモバイル回線を使うため、工事の必要はありません。ルーターを購入したら、使用する場所を選ばず、すぐに利用できます。
2.外出先でも使用可能
モバイルルーターの最大の特徴は、電波が届けばどこでも使えることでしょう。また、コンパクトサイズであるため、持ち運びにも便利です。
モバイルルーターを携帯していれば自宅はもちろんのこと、ビジネスシーンでの外出や旅行先など、場所を選ばずにWi-Fiを使ってインターネットに接続できます。
3.ADSLよりも基本料金が安くなる場合がある
プランにもよりますが、モバイルルーターの基本料金は3,000~4,000円程度です。工事費用もかからないため、現在ADSLの月額料金が4,000円以上であればモバイルルーターに乗り換えるだけで月額料金を抑えられます。
【注意点】
1.通信速度がやや遅い
モバイルルーターの通信速度は光回線と比較するとやや遅いのが現状です。
とはいえ、動画を見たりSNSを利用したりするには問題ない程度の回線速度は確保できるでしょう。また、より速度を求める場合は5G対応のモバイルルーターを使用するとよいでしょう。
2.通信の安定性がやや低い
モバイルルーターはモバイル回線を使用するため、エリアによっては電波が入りづらく、速度も遅くなる場合があります。
屋内で使用する場合、電波がコンクリートや壁を通過しにくいため、どこにモバイルルーターを設置するかによっても安定度が変化します。また、水も電波に影響を与えるため水場の近くで使用する場合や悪天候の日は、通信の安定性に問題が生じる可能性があるので注意が必要です。
@T COM(アットティーコム)の「ADSL接続サービス Tコース」も終了
株式会社TOKAIコミュニケーションズが運用する@T COM(アットティーコム)の「ADSL接続サービス Tコース」も終了が決まっています。設備の老朽化によって、サービスの安定供給が難しくなったことが理由です。
現在ADSL接続サービス Tコースを利用している方はサービス終了までに手続きが必要となります。サービス終了までのスケジュールや手続きについては以下の通りになります。
・終了するサービス
ADSL接続サービス Tコース
・サービス提供終了日
2023年11月30日(木)
※2023年12月1日(金)以降は「ADSL接続サービス Tコース」でのインターネット接続ができなくなります。ご注意ください。対象の方には2023年3月から順次書面にて、終了のお知らせを送付しています。
・ADSL接続サービス Tコースご利用中の方へ
サービス提供終了日の2023年11月30日(木)までに、下記いずれかの手続きをしてください。
(1)@T COM(アットティーコム)が提供する別サービスへの移行
※2022年9月21日付けのお知らせ(一部地域における「ADSL接続サービス Tコース」終了のお知らせ)の通り、一部地域では先行して2023年3月31(金)をもってサービスの提供を終了しています。
乗り換え先候補:@T COM(アットティーコム)ヒカリ
ADSLサービス終了に伴う乗り換え先候補として、NTT東日本・西日本の光コラボサービス「@T COM(アットティーコム)ヒカリ」がおすすめです。
「@T COM(アットティーコム)ヒカリ」では、現在キャンペーンを行っています。対象となるのは、ADSL接続サービスTコースから「@T COM(アットティーコム)ヒカリ2年バリューパック(N)」へコース変更される方です。
特典内容は、月額利用料金から最大12ヶ月間割引となっています。
・ファミリータイプ :1,100円/月(税抜1,000円/月) 最大12ヶ月間割引
・マンションタイプ :550円/月(税抜500円/月) 最大12ヶ月間割引
2023年11月30日(木)までに専用コース変更申込みフォームから申込みをし、2024年3月31日(日)までに開通した場合に適用されます。
@T COM(アットティーコム)ヒカリ コース変更お申込みフォーム
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ファミリータイプ |
マンションタイプ |
2年バリューパック(N) |
5,610円/月 (税抜5,100円/月) |
4,180円/月 (税抜3,800円/月) |
キャンペーン適用 ※最大12ヶ月間 |
-1,100円/月 (税抜-1,000円/月) |
-550円/月 (税抜-500円/月) |
計 |
4,510円/月 (税抜4,100円/月) |
3,630円/月 (税抜3,300円/月) |
※開通月は日割り請求となり、日割りでの請求月は割引がありません。開通の翌月から12ヶ月間の割引となります。
※引越しに伴ってマンションタイプからファミリータイプ(逆の場合も同じ)に変更になった場合、キャンペーン適用価格もタイプに合わせて変更になります。またキャンペーン適用価数はそのまま引き継がれます。
キャンペーン対象以外のコースなどに変更をした場合は割引が終了します。
その他の特典として、契約事務手数料3,300円(税抜3,000円)が無料となります。
こちらの特典は基本工事費無料ADSL接続サービスTコースから@T COM(アットティーコム)ヒカリへ移行した方への特典となります。こちらの特典については2023年11月25日(土)までに専用Webサイトからコース変更の手続きをし、2024年3月31日(日)までに開通した方が対象となります。
※土日祝工事、夜間工事、オプション工事費の割増料金などは工事費無料の対象外です。
新規に「@T COM(アットティーコム)ヒカリ」を申し込む方の料金については、こちらをご確認ください。
2年バリューパック(N)(24ヶ月の自動更新)を適用した場合の月額料金は以下の通りです。
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標準料金 |
2年バリューパック(N)適用 |
@T COM(アットティーコム)ヒカリ ファミリータイプ(戸建て) |
7,040円 (税抜6,400円) |
5,610円 (税抜5,100円) |
@T COM(アットティーコム)ヒカリ マンションタイプ(集合住宅) |
5,500円 (税抜5,000円) |
4,180円 (税抜3,800円) |
・2年バリューパック(N)とは?
2年バリューパック(N)とは、@T COM(アットティーコム)ヒカリを24ヶ月単位で契約することで、月額利用料を割引くプランです。2年バリューパック(N)の利用期間は24ヶ月単位の自動更新です。利用開始した翌月からを1ヶ月目とし、24ヶ月目までが契約期間となります。
変更の申し出がない場合は、24ヶ月単位の契約期間で自動更新されます。契約満了期間以外で2年バリューパック(N)を解約した場合、ファミリータイプ3,300円(税抜3,000円)、マンションタイプ2,200円(税抜2,000円)の契約解除料が必要です。
@T COM(アットティーコム)ヒカリについて詳しくはこちら
乗り換え先候補:WiMAX+5G ホームルーター
WiMAX+5G ホームルーターは、WiMAX 2+/5G/4G LTE回線と、ホームルーター端末で提供される高速Wi-Fiルーターサービスです。
WiMAX+5G ホームルーターは工事不要で、SIMカードをセットしコンセントに挿すだけでインターネットを利用できます。また、さまざまなネットワークに対応していることもWiMAX+5G ホームルーターの特徴です。WiMAX2+エリアに加え、5G及び4G LTEの3つのネットワークにつながります。
さらに、高速通信が無制限で使えます。WiMAX+5Gなら超高速ネットが月間データ量制限なしで(※1)、下り最大2.7Gbps(※2)の快適な通信を楽しめるでしょう。
ただし、「WiMAX+5G ホームルーター」はベストエフォート型サービスで、提供するサービスについて常に一定の品質を保証しているわけではありませんが、最善のサービスを提供できるよう可能な限り努力するという内容になっています。
「LIBMOとのセット割引」がある点もポイントです。WiMAX+5G ホームルーターを利用の場合、格安SIMサービス「LIBMO」を利用することで割引になります。(LIBMO光×セット割の詳細はこちら)
(※1)一定期間内に大量のデータ通信の利用があった場合、混雑する時間帯の通信速度が制限される恐れがあります。
(※2)「Speed Wi-Fi HOME 5G L11」の場合の下り最大速度です。
@T COM(アットティーコム)のWiMAX+5G ホームルーターについて詳しくはこちら
まとめ
日本のインターネット接続に革新をもたらしたADSLですが、サービス開始から20年以上が経過し、設備の老朽化や光回線の普及などにより、2024年3月末をもってサービスを終了することが決定しました。
現在ADSLを利用中の方は、自身のインターネット利用状況に応じて新たな回線サービスを選ぶ必要があります。さまざまなサービスが提供されていますので、メリットや注意点を考慮し自身にあったものを選択しましょう。
併せて、@T COM(アットティーコム)の「ADSL接続サービス Tコース」も終了が決定しています。
ADSL接続サービス Tコースから@T COM(アットティーコム)ヒカリへのコース変更では、月額利用料金から最大12ヶ月間料金が割引されるキャンペーンを実施しています。
また、WiMAX+5G ホームルーターでは、格安SIMサービス「LIBMO」と併用することで料金が割引されます。
現在ADSLを利用している方は、ぜひ@T COM(アットティーコム)のお得なサービスの利用を検討してみてください。
@T COM(アットティーコム)ヒカリについて詳しくはこちら
@T COM(アットティーコム)のWiMAX+5G ホームルーターについて詳しくはこちら
※本記事の情報は2023年11月時点のデータに基づくものです。
※掲載中の料金やキャンペーンは予告なく変更になることがあります。ご利用前に、必ず適用条件を公式サイトでご確認ください。