【災害でスマホがつながらないとき】安否確認・連絡の手段を詳しく解説

【災害でスマホがつながらないとき】安否確認・連絡の手段を詳しく解説

 

地震などの災害発生時に基地局が停止してしまうと、携帯電話やスマートフォンが使えず、連絡が取れなくなります。「東日本大震災」では、東北だけでなく広域で電波がつながりにくい状況になり、「令和6年能登半島地震」でも通信障害が発生しました。

そこでこの記事では、災害発生時に携帯電話がつながりにくくなる理由や、各キャリアが提供している安否確認・伝言板サービス、自分でできる対策などを紹介します。万が一に備え、緊急時の連絡手段について理解を深めておきましょう。

 

スマホがつながらない男性

 

災害時にはスマホがつながりにくくなる

スマホがつながらない女性

 

地震などで基地局がダメージを受けると、携帯やスマホの電波がつながりにくくなります。東日本大震災では最大震度7が記録され、東日本にある3万近くの基地局が地震の影響でサービスを停止しました。基地局の設備に甚大な被害が及び、通信会社も大混乱になったため、各キャリアは災害発生時でも安定して通信できるような対策を講じています。

では、そもそもどのような状況になるとつながりにくくなるのでしょうか。

 

つながりにくくなる原因は?

電波がつながりにくくなる原因は主に4つです。

 

1.長時間の電源喪失・停電

地震の影響で発電所が止まったり、電線・電源ケーブルの切断が起きたりすることで長時間停電状態になると、基地局の機能が停止します。稼働する基地局の数が減ると、電波がつながりにくくなります。

 

2.基地局設備の故障

地震そのもので物理的なダメージを受け、基地局設備が故障すると通信基地としての機能が果たせなくなるため、電波がつながりにくくなります。

 

3.通信の輻輳

災害時には、多くの人が情報を集めたり連絡を取り合ったりするでしょう。アクセスが集中すると、通信障害やシステムダウンを誘発してしまいます。

なお、これを通信の分野では「輻輳(ふくそう)」といい、東日本大震災の際にはこの状態が起こっていました。総務省によれば、震災直後は最大で通常の約50〜60倍以上の音声通話が集中したようです。

 

4.各キャリアの通信規制

各キャリアが、輻輳状態からのシステムダウンを避けるために通信規制を行うことも、地震直後の電波がつながりにくくなる原因の一つです。総務省から発表された「東日本大震災における情報通信の状況」によると、音声通信は各キャリアで最大95%の規制を実施しました。なお、パケット通信は「NTT docomo」が最大30%規制しましたが、他のキャリアは規制を行わなかったようです。

 

災害時の安否確認に役立つ各種サービス

スマホを操作する手

 

続いて、つながりにくくなった場合でも利用できる可能性がある、安否確認に役立つサービスを紹介します。過去の災害の経験から、各キャリアはさまざまなサービスを提供しているため覚えておきましょう。

 

災害用伝言ダイヤル(171)

「災害用伝言ダイヤル(電話番号:171)」は、国内で大規模災害が発生した時に、通話機能が伝言板の役割を果たします。被災された方は音声を登録し、被災地以外の方はその音声を聞くというシステムです。音声通信の過度な集中を避けながら、伝言による安否確認を可能にします。

サービス自体はNTTコミュニケーションズが提供しており、NTT東日本とNTT西日本でそれぞれが担当する地域で運営しています。通話の輻輳状態が5日間続いた「阪神・淡路大震災」をきっかけとして開発されました。

 

災害用伝言ダイヤル(171)の使い方は以下のとおりです。

 

・録音する場合

まず、電話番号171に電話し音声メッセージを聞きながら進めます。

録音する場合、まず「1」を押して、自分の電話番号を登録します。登録が終わると録音の準備は完了です。

続いて再度「1」を押すことで、録音が開始されます。

録音できるのは30秒ですが、伝言は録音しなおせるため慌てずに落ち着いてメッセージを録音しましょう。

なお、被災地からの録音を優先するため、電話番号を登録する際に被災地外の電話番号を登録すると、録音が行えません。

 

・再生する場合

被災されたであろう方の安否を確認する際は、電話番号171に電話し、再生専用の「2」を押します。

その後に安否を確認したい相手の電話番号を入力すると、その電話番号を持つ方のメッセージが聞けるようになります。何度でも繰り返し聞くことが可能です。

ただし、このサービスも輻輳の影響を受けるため、つながりにくくなる場合がある点には注意が必要です。

 

災害用伝言板(各キャリア)

ここからは、各キャリアの災害用伝言板サービスについて紹介します。いずれも通話が必要な災害用伝言ダイヤル(171)とは異なり、インターネット回線を利用したものとなっています。

 

NTTドコモ

NTTドコモでは、大規模災害時に携帯やスマホで安否確認が可能な災害用伝言板を提供しています。この伝言板は、震度6弱以上の地震のような災害発生時に、被災地域で居住している方がドコモの携帯やスマホを利用して自身の状況を登録できる災害時専用サービスです。登録された安否情報をもとに、インターネットで全世界から個人の安否確認ができます。

家族や友人が災害用伝言板に自身の状況を登録したら、メールにて通知するように設定しておける他(登録お知らせメール)、被災した方に対して災害用伝言板に安否情報を登録するよう依頼(登録お願いメール)することも可能です。

 

なお、災害用伝言板を使用する際、NTTドコモでは「災害用キット」アプリの使用を推奨しています。一部の機種ではプリインストールされていますが、もしお手元の端末で見当たらない場合は、以下ページの内容を参考にダウンロードしておきましょう。

NTTドコモ 災害用キット

 

<メッセージの登録方法>

1.スマホ内の災害用キットアプリを起動

2.災害用伝言板(通常版)災害用伝言板(簡易版)のどちらかをタップ

3.安否の登録をタップ

4.登録したメッセージをグループメンバーに通知するか設定する(初回登録時のみ)

5.現在の状況に該当する選択肢を選ぶ、もしくは100文字以内(任意)でコメントを入力し、登録をタップ

6.登録完了

7.登録お知らせメールを送信する場合、送信をタップ

 

<メッセージの確認方法>

1.スマホ内の災害用キットアプリをタップ

2.災害用伝言板(通常版)災害用伝言板(簡易版)のどちらかをタップ

3.安否の確認をタップ

4.安否確認したい方の携帯電話番号を入力し、検索をタップ

5.メッセージが登録されていれば、状態とコメントの確認が可能

6.メッセージが登録されていなければ、登録を依頼可能なため依頼するをタップ

7.依頼完了

 

なお、詳細な情報は以下の公式サイトをご覧ください。

災害用伝言板のサイトはこちら

概要と使い方はこちら

※ページの後半あたりに詳しい使い方のページのリンクがあります

 

KDDI(au)

KDDI(au)・沖縄セルラーでは、災害時の家族・友人・知人の安否確認サービス(災害用伝言板)を提供しています。大規模な災害が発生した時に被災した方がauユーザーであれば、5G NET/LTE NET上の災害用伝言板に自身の状況を登録可能です。

登録された安否情報は、インターネット経由で全国から確認できます。また、災害用伝言板に家族・友人・知人の安否情報が登録されたらメールで通知する機能も提供しています。

 

なお、利用する際はau災害対策(+メッセージ 公式アカウント)の登録が必要です。登録についてはこちらの公式サイトをご覧の上、あらかじめ準備しておくことをおすすめします。

au災害対策(+メッセージ 公式アカウント)

 

端末によって使い方は異なりますが、スマホの場合の使い方は以下の通りです。

 

<メッセージの登録方法>

1. +メッセージ公式アカウントau災害対策から災害用伝言板を選択

災害用伝言板のメニューから登録をタップ

3.被災状況を5つの選択肢の中から選択する、もしくは100文字以内で任意のコメントを入力して内容確認をタップ

4.内容確認後、はいをタップすれば登録完了(訂正したい場合はいいえをタップする)

 

<メッセージの確認方法>

1+メッセージ公式アカウントau災害対策から災害用伝言板を選択

2.災害用伝言板のメニューから確認をタップ

3.安否情報を確認したい方の携帯電話番号を入力し、検索するをタップ

4.確認したい安否情報をタップ

5.安否情報が表示される

 

なお、詳細な情報は以下の公式サイトをご覧ください。

災害用伝言板のサイトはこちら
(Wifi環境では登録できない点と@au.com/@ezweb.ne.jpのメールを取得していないと利用できない点に注意)

概要と使い方はこちら

 

ソフトバンク/ワイモバイル

ソフトバンクも、災害時の電話がつながりにくくなったときのために、災害用伝言板サービスを提供しています。震度6弱以上の地震のような災害が発生した時に開設され、Wi-Fi環境でも利用可能です。

 

なお、利用にはあらかじめ専用の「災害用伝言板」アプリのダウンロードが必要です。以下のページの「利用方法」の項目にて、該当するOSに対応したアプリをダウンロードしておきましょう。登録された安否情報は、他社スマートフォンやパソコンからでも確認できます。

SoftBank 災害用伝言板

概要と使い方はこちら

 

ワイモバイルでも、大規模な災害が発生した場合に災害用伝言板サービスを利用できます。災害用伝言板サービスでは、自身の安否状況の登録や家族や友人が被災した時の安否情報の確認が可能です。震度6弱以上の地震などが大規模な災害として定められており、この基準に準ずる災害が発生した場合、災害用伝言板サービスが提供されます。

 

ワイモバイルもソフトバンクと同様の専用アプリが必要です。以下のページの「利用方法」の項目にて、該当するOSに対応したアプリをダウンロードしておきましょう。

SoftBank 災害用伝言板はこちら(ワイモバイル利用者の方も同様のアプリを使用します)

 

なお、詳細な情報は以下の公式サイトをご覧ください。

災害用伝言板のサイトはこちら

 

楽天モバイル

楽天モバイルでは、震度6弱以上の地震のような大規模な災害が発生した時に利用できる災害用伝言板サービスを提供しています。

楽天モバイルユーザーなら、被災した地域に居住している方の安否確認がインターネット経由でできます。また、自身の状況を登録することも可能なうえに、登録された安否情報は国内・国外問わず確認が可能です。

 

なお、詳細な情報は以下の公式サイトをご覧ください。

災害用伝言板のサイトはこちら

概要と使い方はこちら

 

災害用伝言板(web171)

震度6弱以上の地震や台風といった災害が増加傾向にある現代では、災害時の安否確認の重要性が高まっています。そこで、平成17年8月から災害用ブロードバンド伝言板(web171)の提供がスタートしました。また、平成24年8月末には災害用伝言板(web171)の提供がスタートし、スマホ対応や伝言登録の通知機能など現代に合った機能が追加されています。

上記のような大規模な災害が発生した場合、避難地域に指定されている方がインターネット経由で災害用伝言板(web171)にアクセスし、自身の安否情報を登録します。安否情報はテキストで登録可能なうえに、災害用伝言ダイヤル(171)に登録されたメッセージの確認も可能です。

 

災害用伝言板(web171)の利用方法は以下の通りです。

 

<利用者登録>

1.公式サイトにアクセスし、伝言板の登録・更新・削除をクリック

2.新規の伝言板の登録をクリック

3.電話番号やメールアドレスといった情報を入力して次へをクリック

4.伝言板登録(通知先設定)で伝言を通知したい相手の名前や電話番号といった情報を入力し次へをクリック

5.登録内容に間違いがないか確認し、伝言板作成者として表示される名前を入力後、登録するをクリック

6.登録完了

 

<伝言の登録方法>

1.公式サイトにアクセスし、伝言を残したい電話番号を入力した後、登録をクリック

2.名前・安否・伝言(最大100文字)を入力し、登録をクリック

3.登録完了

 

<伝言の確認方法>

1.公式サイトにアクセスし、伝言を確認したい電話番号を入力した後、確認をクリック

2.伝言が登録されていれば伝言を確認可能

 

なお、詳細な情報は以下の公式サイトをご覧ください。

web171のサイトはこちら

概要と使い方はこちら

 

LINE安否確認

LINEの国内利用者数は、約9,600万人以上(2024年1月現在)と国内で最も多く利用されているSNSです。手軽に連絡できるため、災害時にも欠かせないサービスになっています。

他のサービスと一線を画すのが、震度6以上などの大規模な災害が起こると、アプリ側で自動的に赤枠の「LINE安否確認」が出現する仕様になっており、こちらがアクションをするのではなくプッシュ型で利用を促してくれる点です。LINE安否確認はタップするだけで、LINE上の友達に安否を伝えられます。

 

使い方は次の通りです。

1.ホーム画面上部の安否確認バナーから「安否を報告」をタップ

2.無事もしくは被害ありをタップ

3.メッセージを入力して公開をタップ

安否報告をすると、プロフィールアイコンに安否ステータスバッジが表示され、プロフィールページには安否ステータスとメッセージが表示されます。安否確認の情報は災害が落ち着いた段階で非表示になるため、安否確認の情報が消えていれば安心してよいでしょう。

詳細な使い方はこちら

 

Googleパーソンファインダー

Google社も「Googleパーソンファインダー」というウェブ上の災害用伝言板サービスを提供しています。このサービスでは、PCや携帯電話から簡単にアクセスでき、登録することですぐに利用できるようになります。

使い方は、Webブラウザから「パーソンファインダー」を検索して公式ページにアクセスするだけです。表示された「人を探している」または「安否情報を提供する」を選択して情報を入力しましょう。名前か携帯電話番号を入力するだけで登録できます。

サイトはこちら

利用方法はこちら

 

災害時に通話・通信を行うために

 

公衆電話

 

ここでは、実際に災害にあったことを想定してその状況でどのような通話・通信手段があるかを紹介します。

 

公衆電話ならつながる場合も

災害時に携帯の電波が途切れる、もしくは自宅の固定電話が利用できない場合の連絡手段として公衆電話があります。災害発生時のために、どこにあるかを事前に確認しておくと安心です。また、使い方も知っておきましょう。災害時には、災害用の公衆電話が設置されることがあります。

NTT東日本と西日本の公衆電話の設置については以下から確認できます。

 

・NTT東日本

公衆電話設置場所検索(通常時)
https://publictelephone.ntt-east.co.jp/ptd/map/

災害時用公衆電話設置場所検索
https://www.ntt-east.co.jp/cgi-bin/ptd/tokusetsu.cgi

 

・NTT西日本

公衆電話設置場所検索(通常時)
https://www.ntt-west.co.jp/ptd/map/

災害時用公衆電話設置場所検索
https://www.ntt-west.co.jp/cgi-bin/saun/saitai/tokusetsu/index.cgi

 

無料Wifi「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」

00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)とは、大規模な災害が発生した時に、大手の通信各社が会社の垣根を越えて提供する無料の公衆Wi-Fiサービスです。これは東日本大震災の経験から、世界初のプロジェクトとして始まりました。通常、契約者しか使えない各キャリアのネットワークが無料で開放されます。

00000JAPANが利用できる場所であれば、自由にWi-Fiでのインターネットが利用できます。また、このサービスは、輻輳の緩和にも効果的です。

注意点として、利用時は緊急で情報収集を行うだけにとどめましょう。セキュリティ面に不安があるため、個人情報やパスワードなどの入力は避けるべきです。

 

災害用統一SSID「00000JAPAN」について、詳しくはこちらもご覧ください。

一般社団法人 無線LANビジネス推進連絡会【WiBiz(ワイビズ)】 災害用統一SSID「00000JAPAN」について

 

災害時のスマホ利用への備え

スマホバッテリー

 

ここでは、災害時のスマホを利用するためにできる準備について紹介します。日頃から意識して、何かあった時のためにすぐに対応できるようにしておきましょう。

 

モバイルバッテリーの準備

大規模災害発生時は、数日~数週間にわたって停電する場合もあります。その時に有効なのがモバイルバッテリーです。普段から充電型のものを利用されている方もいるかもしれませんが、災害時用に乾電池式のものを準備しておくとよいでしょう。

また、携帯やスマホは電波を探す際に多くの電力を使うため、電波の届かないところにいると激しくバッテリーを消費します。災害時は、充電された電力を有効に使わなければなりません。基地局などがダウンしているような状況では、電波を探さないように電源のオフまたは「機内モード」をオンにしておくと充電が長持ちします。

 

防災アプリや地図のダウンロード

非常時に備え、スマホやタブレットなどに防災アプリや地図をダウンロードしておくことをおすすめします。防災アプリはヤフーやNHKなどさまざまな企業が提供していますが、中でも「みんなの防災アプリ」「東京都防災アプリ」はオフライン環境でも利用できるため便利です。非常時に電波がつながりにくくなる危険も考えると、オフラインでも利用できるアプリもインストールしておいたほうがよいでしょう。

 

まとめ

非常時は、各キャリアが提供する伝言板サービスだけでなく、それを網羅的につなぐ「web171」というサービスも提供されます。また、LINEやGoogleでも同様の機能があります。普段から、家族や友人と非常時にどのように連絡を取るか決めておくと、伝言板サービスから安否確認などがしやすくなるかもしれません。さらに、非常時では「公衆電話」「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」が無料で利用できるようになります。非常時のために、普段から色々なパターンを想定して準備をしたり知識を付けたりしておくことが大切です。

 

※本記事の情報は2024年2月2日時点のデータに基づくものです。
※各種サービスの情報は執筆時から変更されている可能性があるため、各リンクから最新情報を参照してください。

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